
田原 日本のバブルがはじめて、戦後最大最悪の不況が始まったのと似たようなパターンをアメリカがたどっているとは言えませんか?
竹中 たしかに株価は下落しました。しかし、この間の株価下落率はアメリカが9%、対して日本は24%ですよ。ですから私は、アメリカはこれだけの金融混乱が起きたにもかかわらず底堅い、と見ています。
田原 日本は04~05年あたりから、景気がよくなってきた。しかし、給料はまったく上がっていない。これは、企業が利益を上げながら社員に配分しないから、ではないんですか?
竹中 日本の企業が利益を得たと。それ、どこで得ているんですか? 外国で得ているんですよ。国内で改革が進んでいないから、企業は外に行って伸びているんです。格差、格差といっているけれど、生産性が上がらなければ、利益なんか増えないんですよ。
竹中 アメリカはものづくりを諦めて金融にシフトした、日本は金融が不得意だけどものづくりで頑張っているなんていう。これに対して「世界の製造業トップ100」というランキングがあります。日本の企業は何社入っていると思いますか? 8社ですよ。アメリカは圧倒的で、44社です。アメリカはものづくりを放棄したという見方は間違っている。金融が強い国はものづくりも強いんです。
竹中 マスコミは、反政府的な意見だけを載せる傾向が強いですね。しかし、不良債権処理を進めていたとき、海外の識者はほとんど全員、私を支持してくれましたよ。
田原 なんで日本では、リチャード・クーさんとか堺屋太一さんとか、あんなに反対したのか?
竹中 不勉強ですね。グローバル・スタンダードという経済的な視点は、ないんだと思いますよ。
竹中 私が学者からいきなり大臣になったとき、「本を読んで論文を書くだけの学者なんかに、何ができるのか。政治は結果責任だ。あなたも結果を出してください」と、みんな言いましたよ。そう言った政治家たちが、誰一人として結果責任を取っていません。私には、非常に滑稽な風景に見えます。
竹中 小泉改革で公共事業を減らさなかったら、何が起こっていたか。消費税の税率引き上げという増税が避けられなかった。消費税の増税をやっていたら、格差は拡大しなかったんですか?
竹中 郵政完全分離と決まった翌日、しゃんしゃんの昼食会を総理官邸でやったんです。そのとき麻生太郎さんは、立ち去りぎわに私に、「いつか仕返ししてやる」と、言いましたよ。まあ冗談でしょうけど(笑)。
田原 サブプライムローンは商品として、欠陥商品ではない?
竹中 これは経営の失敗なんですよ。商品を作ったことが悪いというよりは、そういうものであるとちゃんと認識していなかった人間が悪いわけです。米金融機関がバブルに浮かれて、信用リスク管理をちゃんとやらなかったということです。
竹中 空港施設でも原子力でも、守らなければならない公共の利益があるのは当然写真のキャプションを入力します。です。しかし、なぜ官僚が外資規制するのか、まったくわらない。ちなみに、ソニーは外資です。キヤノンも三井不動産も外資ですよ、今は。私は官僚に聞いたんです。「ソニーはJパワーの株を10%を超えて買えるんですか」と。フーンと考えて「買えません」と言った(笑)。
田原 じゃあ、外資のキヤノンのトップが、日本の経団連会長でいいんですか?
竹中 知りません、そんなことは(笑)。
竹中 結局、日本社会には、さまざまな病理がはびこって、前向きな改革を阻んでいる。しかし、それぞれの病理には、ちゃんと原因があるわけです。病理に対する分析もおこなわずに、全部小泉・竹中が悪いとか、改革が社会を悪くしたとかいう短絡が多いですね。
田原 日本にはグローバル化を否定的に受け止める人が多い。
竹中 グローバル化に文句を言ったって、しょうがないです。ドメスティックな世界は小さくなっていきますけれど、グローバルなマーケットは大きくなっていきますから。グローバリゼーションは、日本を救うほとんど唯一の道なんです。

